研究課題/領域番号 |
63480358
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
阿曽 佳郎 東京大学, 医学部(病), 教授 (00009961)
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研究分担者 |
本間 之夫 東京大学, 医学部(病), 講師 (40165626)
簑和田 滋 東京大学, 医学部(病), 講師 (00126179)
東原 英二 東京大学, 医学部(病), 助教授 (00092312)
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キーワード | 褐色細胞腫 / ニコチン / カテコールアミン / ATP / Ca Channel Blocker |
研究概要 |
基礎的研究としては、褐色細胞腫の動物モデルの作製を行なった。Wistar rat(WR)、Fischer rat(FR)、Evans rat(ER)およびSprague-Dawley(SR)の4系につき、4mg/kgのニコチンの皮下注を行い、6、9、12週で屠殺した。このうちFR以外の結果は既に判明している。 最も差の顕著であったのは、WRであり、副腎重量(左右合計mg)が、対照群では6週で39.8、9週で43.2、12週で55.4であったのに対し、ニコチン群では6週で45.0、9週で63.5、12週で64.9でった。副腎内のカテコールアミン含有量は、アドレナリン(AD)、ノルアドレナリン(NA)(Mg/湿重量g)で、対照群では6週で198、779、9週で860、189、12週で705、165であったのに対し、ニコチン群では6週で448、822、9週で1013、468、12週で861、590と、特にNAの含有量に顕著な差を認めた。ER、SRでも、程度は弱いが同様の差を認めた。尿中カテコールアミンの値は、現在測定中である。 一方、臨床的な検討もあわせて行なった。高血圧を呈する褐色細胞腫の患者3例について、術前の血圧のコントロールに、Ca Channel Blockerであるnifedipineを20〜40mg/day使用したところ、特に発作性の高血圧のコントロールに効を呈した。これは、従来使用されていたα-blockerよりも経口投与で速効性があり、有用な薬剤と考えられた。また、術中の高血圧の管理にATPを使用したところ、α-blockerにみられる、低血圧の遷延や効果の程度の動揺がなく、安定した降圧作用がみられた。 以上、基礎実験では褐色細胞腫の動物モデルの作製、臨床研究では、Ca Channel BlockerやATPの効果につき、研究が進行している。
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