研究課題/領域番号 |
63480370
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
永田 行博 鹿児島大学, 医学部, 教授 (30038806)
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研究分担者 |
新村 亮二 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (70171080)
飯隈 忠仁 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (30202807)
沖 利貴 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (30107867)
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キーワード | 骨粗鬆症 / 卵巣摘出 / 外科的去勢 / オステオカルシン / 骨質量 / QCT法 / エストラジオ-ル経皮吸収剤 / 予防的治療 |
研究概要 |
卵巣摘出(卵摘)を受けた婦人について、【○!1】Osteocalcinの骨代謝指標としての意義、【○!2】治療群(エストロゲン、VD投与)と非治療群の骨質量の経年変化、【○!3】エストロゲンの経皮的投与法の有用性、について検討した。 (1)Osteocalcinを他の9種類(Ca、P、ALP、CT、E_1、E_2、A、DHEA-S、T)の骨代謝指標とともに測定した。対照の81名(30〜60歳代)、卵摘を受けた患者19名(35〜45歳)を対象とした。骨質量はMD法にて測定した。その結果Osteocalcinは40歳代の月経不整群(平均46歳)が月経整群(46歳)に比較し上昇傾向を示し、閉経後1年未満群が有意に上昇し(P<0.05)それ以降は低下傾向を示した。卵摘群では、Osteocalcinが去勢後約2年で有意に上昇し(P<0.001)、骨質量は去勢後5年で有意な低下(P<0.005)を認めた。これらのことから骨質量変化以前にOsteocalcinが上昇することが明らかとなった。特に今まで報告のなかった外科的去勢群で顕著であることが判明した。これらから予防策を取るべきことが示唆された。(2)卵摘群10例の骨質量が治療および未治療によって2年間どのように変化するかをQCT法にて対照群と比較した。その結果、対照群の2年間の骨質量減少が-8.68mg/cm^3に対して、卵摘治療群は平均-12.19±4.7mg/cm^3、卵摘未治療群は平均-24.59±8.5mg/cm^3であった。このことは卵摘が骨質量減少に著しい影響を及ぼしており、予防的治療が必要なことを示した。しかし、慢然とした治療ではなく、患者の意識を向上させ、積極的に予防に立ち向わせることが必要であることも認識された。(3)最近注目のE_2経皮吸収剤の骨代謝への影響を検討した。卵摘を受けた8名(平均37.5歳、卵摘後2.6年)を対象にE_22mg含有経皮吸収剤を隔日又は2回/週6ケ月間貼付した。その結果PTH抑制、CT促進などの改善が認められ、また骨質量も増加した。E_2経皮吸収剤は血中濃度維持が容易、肝への影響少ないことなども加えて、骨粗鬆症への有用性が示唆された。
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