(1)、囲卵腔内への精子注入による体外受精の予備実験を、ハムスタ-卵とヒト精子を使用して行なった。マイクロマニピュレ-タ-を用いてcapacitation完了ヒト精子をハムスタ-卵の囲卵腔に注入することにより、前核形成を認めることができた。この成績はヒト体外受精への本操作の応用可能な事を示していると思われる。 (2)、精子の先体反応発現のメカニズムについて検討した。ヒト精子は、卵透明帯あるいは顆粒膜細胞群とともに培養したときの方が精子単独で培養した場合に比べはるかに先体反応が速やかに進行する。先体反応惹起において卵保護層の重要性が示唆されたものと考える。 (3)、胚凍結用溶液として細胞膜透過性耐凍剤であるトレハロ-スを非透過性耐凍剤に添加することで胚の生存性が上昇することが判明した。しかしこれは透過性耐凍剤の濃度が重要で、至適濃度は0.075Mであった。 (4)、精子のhyperactivationをおこす精子は頚管粘液通過能の関連を調べた。近い将来hyperactivationと頚管粘液内進行速度が速く、両者間には極めて高い相関が認められた。
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