研究概要 |
1).マイクロマニピュレ-タ-使用による体外受精法。 ウザギ未受精卵の細胞質内にウサギ精子核を顕微注入し,29.2%の卵が初期胚に発育した。尾部をともなわない精子の核だけでも発生能のあることが確認されたことになる。しかしこの成績は成熟精子全体を顕微注入したときの初期胚発生率40%に比べると低く,また卵管に移植したにもかかわらず未だ産仔が得られていないことからも,さらに詳細な検討が必要であろうと考えている。 2).雄性前核形成能からみた精子の保存方法に関する検討。 ハムスタ-の精巣上体尾部精子核を(1)4℃,(2)-40℃,(3)freezーdry(4)自然乾燥にて保存した。一定期間後,各々の精子核をハムスタ-卵子に顕微注入して雄性前核形成能を調べそれぞれの保存法の有益性を検討した。(1)は保存7週までは前核形成率が90%以上と良好であったが,その後は漸減して36週保存のものは0%であった。(2)は63週まで95%以上という良好な結果が得られた。(3)・(4)とも12週保存のものまで調査できたが,全て94%以上という成績であった。しかし,(4)は前核形成が遅延する傾向がみられた。 保存の方法としては,(2)と(4)が優れていると思われるが,手技的にも維持量の面からも(4)は簡便で有益性が高く,精子の長期保存方法として今後の応用が期待できると考えている。
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