研究課題/領域番号 |
63480377
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廣瀬 肇 東京大学, 医学部(医), 教授 (80010031)
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研究分担者 |
今泉 敏 東京大学, 医学部, 助教授 (80122018)
桐谷 滋 東京大学, 医学部, 教授 (90010032)
新見 成二 東京大学, 医学部, 教授 (00010273)
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キーワード | 声帯振動 / 高速度撮影 / 嗄声 / 励振パタン / グロトグラム |
研究概要 |
本研究では、これまで研究代表者らが開発してきた超高速度声帯振動解析システムを、病的声帯振動パタンの経時的記録に応用する方式を確立し、さらに同時記録によって病的音声信号と画像との対応関係を調べるシステムを樹立することをめざした。 本年度は、各種の喉頭疾患患者を対象として本システムの適用を図り、病的声帯振動様式についていくつかの型があることを明らかにした。また、ファイバ-スコ-プと本システムを併用する方式の開発を進め、過渡的声帯振動状態における正常ならびに異常振動パタンの対比を行うことに成功した。以上に述べたすべてのシステムには音声信号を同時に取り込む方式を設置し、また電気グロトグラフィを計算機メモリに直接読み込めるようにした。 上述のシステム整備をもととして、各種の嗄声症例を対象として、その嗄声生成時の声帯振動パタン解析し、これと音声信号を対比させて検討した。病的振動の特徴として、反回神経麻痺例では、左右の声帯の粘膜波動の非対称性、声門閉塞不全の様相の時間的変化などの所見のほか、声の高さによっては声帯の前後方向で、振動の位相ズレが存在することが確認された。また、声帯ポリ-プ症例では、左右声帯振動の高度な位相ズレが確認され、こうした画像上の異常所見に対応して、音声波形の不規則性をはじめとする病的音声信号が生起されることが推論された。とくにいわゆる粗造性嗄声に関しては、正常音声における波形と異なった音声波形が声帯振動異常と対応していることが確認された。すなわち嗄声症例では、励振パタンは安定であるが周期が変動する場合、励振パタンの明確な周期と不明確な周期が交代して生ずる場合、および各周期ごとにランダムな変動が生ずる場合など、いくつかの異なるパタンが存在することが確認され、それぞれの定量的性質が記述された。
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