研究概要 |
昭和63年度から平成2年度に至る3年間に行なわれた本研究は、次の3段階よりなる。 1.刺激装置としての動的プラットフォ-ムの試作。 2.出力としての各種パラメ-タの検出と臨床的意義の検討。 3.各種パラメ-タの解析方法の確立。 動的プラットフォ-ムの試作は昭和63年から1年間かけて行なわれ、その後各種の改良が加えられた。本装置の基本構造は足圧中心の動きを4個の圧力センサで左右,前後の成分に分けて検出し、これを2つの要素すなわち重心動揺と足関節のトルクとして記録するものである。動的プラットフォ-ム製作上の最大の問題点は、左右足のプラットフォ-ムの均衡を保持するポテンショメ-タの安定性であった。記録上の最大の欠陥もポテンショメ-タの欠陥による反応の不安定さに起因することが分り、この点を解明することにより、安定した刺激と安定した記録を得ることが可能となった。 記録される反応のパラメ-タとしては、既にNashnerらによる抗重筋筋電図反応があり、われわれもこれを記録したが、安定した成績を得ることが容易でないことが分ったので、独自の方法で頭部動揺のearly deveationを求め、信頼性のある成績と臨床適用の可能性が得られた。 完成された装置の適用としては,1)頭部動揺のearly deviationを適用した平衡機能異常者の潜時並びに振幅異常の発見,2)動的プラットフォ-ムによる訓練効果の評価によい成績が得られた。 各種パラメ-タに関しては,Nashnerらの方法による表面筋電図の平均パタン方式の他に,頭部動揺の左右方向,前後方向の動揺記録とともに、その垂直軸におけるスピンの記録も可能であり、これらを総合的に利用してその臨床的適用を拡大することが可能と考えられる。
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