本年度はLKB、ヒストレンジミクロトームを備品として購入した。本機を用いてモルモット卵形嚢、半規管膨大部のJB-4包埋切片の作製、それを利用した、免疫染色による前庭複合糖質の検索が可能となった。すなわち、前庭耳石器及びクプラにはシアル酸、N-アセチルグルコサミン、マンノース、フコースが存在し、それらは前庭の支持細胞により生成されることが証明された。さらに、前庭感覚器はその表面を複合糖質であるGlycocalyxにおおわれており、それが感覚毛の運動性に関与していること、感覚毛の融合を防いでいることをルラニウム赤染色、タンニン酸染色により明らかにした。さらに、これらの複合糖質の生成機構について、タンニン酸染色を用いることにより、複合糖質が小胞体、ゴルジ装置で作られ、coated vesicleを介して細胞外に放出されることを明らかにした。これらの結果は山梨県で開催された第36回日本基礎耳科学会で発表したとともに5編の論文にまとめられた。
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