研究課題/領域番号 |
63480381
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
柳原 尚明 愛媛大学, 医学部, 教授 (40025581)
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研究分担者 |
小澤 哲夫 愛媛大学, 医学部, 助手 (70153525)
佐伯 忠彦 愛媛大学, 医学部附属病院, 助手 (60186913)
湯本 英二 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (40116992)
暁 清文 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (00108383)
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キーワード | 顔面神経麻痺 / ペル麻痺 / ハント症候群 / ヘルペスウイルス / 単純ヘルペスウイルス / 水痘帯状疱疹ウイルス |
研究概要 |
1)単純ヘルペスウイルス(HSV)をマウスの耳介に接種することにより、ペル麻痺の経過と近似した一過性顔面神経麻痺を発症させることに成功した。この動物モデルの顔面神経をヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)により病理組織学的研究、間接螢光抗体法により免疫組織学的研究を行った。病理組織学的には、膝神経節および神経線維に主にリンパ球による炎症細胞浸潤、膝神経節細胞の変性や核内封入体などウイルス性炎症所見が認められた。さらに、これらの病変部位に特異的HSV抗原を確認し、ウイルス性顔面神経炎であることを確認した。以上より、HSVが顔面神経麻痺の原因となることが初めて証明された。 2)ハント症候群とペル麻痺患者より顔面神経減荷術時に中耳粘膜を採取し、病理組織学的研究と間接螢光抗体法による水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)およびHSV抗原の検索を行った。両疾患ともに中耳粘膜に炎症細胞浸潤や浮腫の認められる例があった。特にハント症候群の組織からはVZV抗原が検出され、VZVによるウイルス性炎症であることが確認された。ペル麻痺においてもハント症候群と同様の感染経路からHSVの感染が疑われるが、現在までにHSV、VZVともにウイルス抗原は認められず、さらに研究の必要があると考えられる。 3)ペル麻痺患者および正常人末梢血よりリンパ球を分離し、これに抗原としてHSVを用いて^3HーThymiclineの取り込みを測定することによりリンパ球の幼弱化を定量化し、細胞性免疫の状態を比較検討した。その結果、ペル麻痺患者ではHSVに対する細胞性免疫が亢進していた。特に血清学的に抗HSV抗体陽性の患者では反応が極めて高く、顔面神令麻痺の発症には何らかの形でHSVが関与していると考えられた。
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