研究課題/領域番号 |
63480387
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
本多 芳男 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40056479)
|
研究分担者 |
井上 秀朗 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80130144)
山口 展正 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (60130209)
滝口 清徳 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30142483)
森山 寛 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60125036)
梅澤 祐二 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (90056945)
|
キーワード | 癒着性中耳炎 / 滲出性中耳炎の鼓膜 / 緊張部型真珠腫 / 鼓膜線維層の融解 / 中耳炎による感音難聴 / 実験的鼓膜癒着 / 癒着性中耳炎と真珠腫の関係 |
研究概要 |
1.癒着性中耳炎は幼小児の慢性化した滲出性中耳炎の後遺症として発現する。先ず鼓膜緊張部の線維層が内側より消失し、その部に線維芽細胞の増殖が起こる。緊張部の粘膜上皮の剥脱が起こり、その表面が肉芽性と化す。同時に岬粘膜上皮も剥脱、内芽化する。中耳腔の持続的な陰圧によって鼓膜は陥凹し、両側の肉芽面が癒着していく。この間、上皮の剥脱、肉芽組織の増殖には細菌性成分が関与するものと思われる。 2.癒着性中耳炎へ移行する時期は幼児期であり、10歳前後までには癒着性中耳炎の基本病態は完成するものと思われる。 3.その後の病態の進行は、硬化性変化と感音難聴の増加が加わる。 4.癒着鼓膜の後上部が鼓室峡部を上鼓室へ向かって陥凹した場合に緊張部由来の真珠腫に移行するが、その移行は低年齢の時期に行なわれてしまうものと解釈できた。従って上鼓室への陥凹を障害する因子が強い場合は真珠腫とならず、単なる癒着性中耳炎の病態として生涯留まるものである。5.癒着性中耳炎耳の耳管鼓室口までの形態は著しい変化はないものと思われる。6.癒着性中耳炎に併発する感音聴難の主な原因は正円窓経由による内耳障害である。正円窓窩には陳旧性肉芽組織の充満および黄色液体の貯留を認めるが、この肉芽組織の調査では何等内耳障害を起こす因子は認められない。圧迫による正円窓破壊が誘因の1つに考えられる。7.癒着性中耳炎モデルの作製法として、家兎の中耳腔を経由して耳管の閉塞、中耳腔一面に筋膜の挿入、その他、菌体外毒素細菌の作用などの操作を行ったが、2例の癒着性中耳炎モデルができたが、再現性が乏しく、今後追求を重ねる必要がある。実験結果により見られたものは、鼓膜弛緩部の変化と、緊張部の穿孔例が多かった。
|