研究概要 |
牛眼網膜から視細胞外節を分離し、これを10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)に浮遊したものを酵素液とし、レチノ-ル脱水素酵素(RDH)の様々な性質を調べた。RDHは、pHが6.0から7.5の間で安定であった。EDTAとジチオスレイト-ルは、それ自体では十分RDHを安定化しなかった。一方、補酵素であるNADPは、lmMでこの酵素を安定化させる効果があり、1%コ-ル酸で可溶化しても24時間後に約60%の活性が保持されていた。グリセリンは安定化剤として働くが、単独では効果が低く、0.01mM以上のNADPが安定化に必要であった。コ-ル酸以外にも、トリトンX-100、Tween80、イマルフォジェンなどの界面活性剤で活性を保持したまま可溶化できることが分かった。25%硫安存在化でポリエチレングリコ-ル6000によりオプシンは沈澱するが、RDHは沈澱しなかった。この方法によって視細胞の80%以上を占めるオプシンと分離できた。この分離法はpHとイオン強度に非常に影響を受け易く、条件が少し変わると非常に異なる結果を得た。特に、イオン強度については、25%という高い硫安濃度にしないとRDHが可溶化されないことも分かってきた。RDHをハイドロキシルアパタイト、コンカナバリンA、セファロ-ス6B等で精製した。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法により精製したサンプルのタンパク質を見てみると、分子量約37,000のところに主なバンドが見られた。この段階での基質特異性は、全トランスレチナ-ルに対して高く、cGMP、cAMP、カルシウムイオン、イノシト-ル3リン酸等によって活性の変化はみられなかった。
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