研究課題/領域番号 |
63480397
|
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
植村 恭夫 慶應義塾大学, 医学部眼科, 教授 (30051006)
|
研究分担者 |
気賀沢 一輝 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20129406)
桂 弘 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40129391)
東 範行 慶應義塾大学, 医学部眼科, 助手 (10159395)
田中 靖彦 慶應義塾大学, 医学部眼科, 講師 (30051551)
|
キーワード | ビーグル犬.未熟児網膜症 / 酸素誘導網膜症 / 新生血管 / 無血管帯 / 網膜血管内皮細胞 / I型コラーゲン / 硝子体血管 |
研究概要 |
幼若ビーグル犬の酸素暴露による網膜硝子体増殖病変 目的:未熟児網膜症の病態解明のため、実験モデルとして、ビーグル犬の酸素誘導網膜症を作製し、その自然経過を検眼鏡的に、また形態学的に観察した。 方法:材料は出生直後のビーグル犬34頭を使用した。出生当日より3〜4日間ビニールアイソレーター内で連続的に95-100%の酸素に暴露しながら人工授乳を行い、その後正常大気下に戻し飼育した。開瞼後定期的に眼産検査と写真撮影を施行した。また適宜採材を行い、パラフィンおよびエポンに包理し、光学顕微鏡、電子顕微鏡下にその病理組織所見を検討した。 結果:眼底病変には個体差があり、さまざまな程度の病変が観察された。軽度のものでは網膜血管の拡張と蛇行、無血管帯との間の境界線や網膜内出血がみられた。組織所見では、その部位に血管内皮の集簇が観察された。網膜血管の発芽病変はヒトとは異なり、血管の先端部のみならず後極部も含め広範な部位に出現したが、組織所見では血管内皮の核分裂像を伴う新生血管であり、出現部位によって差はみられなかった。この発芽病変は白色の軽度な線維組織を残したが、電子顕微鏡下ではこの中にI型コラーゲンと思われる周期を有する線維が多数含まれていた。さらに出生時は正常でも硝子帯血管が遺残していたが、酸素投与によりこれらにも増殖病変が出現した。初期には硝子帯血管に沿った出血や血管増殖が見られたが、軽度なものでは白色の線維組織を残した。組織学的にはこれらは血管内皮の硝子体内の増殖であり、線維組織内には同様にI型コラーゲン線維が認められた。 結論:ビーグル犬の酸素誘導硝子帯網膜症は、未熟児網膜症のみならず硝子体の先天異常の病体解明にも有用な材料になるものと考えられた。
|