研究課題/領域番号 |
63480402
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
脇田 稔 北海道大学, 歯学部, 教授 (40018916)
|
研究分担者 |
山本 恒之 北海道大学, 歯学部, 助手 (80200822)
高野 吉郎 北海道大学, 歯学部, 助教授 (90126425)
|
キーワード | エナメル質 / エナメル小柱 / シュレーゲル条 / レチウス条 / 走査電子顕微鏡 / アパタイト |
研究概要 |
光学顕微鏡下にみられるエナメル質の複雑な組織像、特にシュレーゲル条ならびにレチウス条を発生学的に理解するために、ヒトの機能歯ならびにイヌの歯胚のエナメル小柱の走行を観察した。エナメル小柱は、エナメル象牙境からエナメル質表面に至る間に、複雑に蛇行する経過をとるために、エナメル小柱の走行を三次元的に理解することの障害となっている。今回、エナメル象牙境近くのエナメル質最深層におけるエナメル小柱の走行を、主として走査電子顕微鏡で観察し、興味ある知見を得た。イヌの歯胚を灌流固定の後取り出し、次亜塩素酸ナトリウムによって脱有機を行い、次いで上昇エタノール系列で脱水、酢酸イソアミルで置換の後、臨界点乾燥を行なった。その後、歯胚の経線もしくは緯線に沿って断面が得られるようにエナメル質を実体顕微鏡下で割断し、スパッタコートを行なって走査電子顕微鏡で観察した。エナメル小柱は、傾きがそれぞれ異なる多くの小柱群に分かれており、各々の小柱群を構成する小柱の走行は同一であった。各小柱群の方向は、主として歯冠の緯線方向に強く傾いていた。傾きの方向は隣接する小柱群で異なっており、多くの場合互いに逆向きになっていた。小柱群の経線方向への傾きは、緯線方向ほど強くなかった。これらの現象はステレオ観察によってより明瞭になった。個々の小柱に注目すると、小柱はエナメル象牙境から立ち上がるときは、象牙質表面に対してほぼ垂直であるが、すぐに隣接の小柱とともにある一定の方向に傾く小柱群を形成し、隣接する小柱群と交叉しながらエナメル質表面に向かう。この経過中に、複雑なうねりを生じていた。互いに交叉する小柱群の境界では、一方の小柱群に属するエナメル小柱が隣の小柱群に移行している像も多くみられた。小柱が複雑にうねっているところでは、小柱の屈曲に応じて、小柱は複雑に捻れていることが理解された。
|