研究概要 |
ヒト骨髄腫由来の骨芽細胞様細胞(Saos-2)をB_a16/_cマウス腹腔内に4回免疫し、マウスP3X骨髄腫細胞と融合し、hybridomaを作製した。最初にhybridoma上清をSaos-2に対して免疫組織学的にスクリーニングし、陽性のものはヒト胎児凍結切片を用いてさらにスクリーニングした。興味ある反応性を示したものは限界希釈法にて、2回クローニングし、ヒト他組織における反応性も検討した。その結果、4つのモノクロナール抗体(HOB-1,-2,-3,-4)を選び、さらに詳細に検索した。HOB-1,-3,-4はIgG1-Kで、HOB-2はIgMであった。HOB-1とHOB-2はSaos-2及び骨芽細胞の細胞質に強く反応し、抗原の分子量はWestern Blottingで、それぞれ59KD,57KDであった。また、これらの抗体は脾、肝、腎の一部の細胞にも反応した。HOB-3はSaos-2及び骨芽細胞の細胞膜に反応し、他臓器ではアルカリフオスファターゼ(ALP)陽性細胞に反応した(小腸小皮細胞は陰性)。Western BlottingでHOB-3の抗原は非還元状態で140KDであり、ALPのダイマーのサイズと一致した。さらに、HOB-3は骨、肝、腎のALPを免疫沈降し、小腸、胎盤のALPは沈降しなかったため、骨、肝、腎のALPに特異的な抗体であることが判明した。HOB-4はSaos-2の細胞外物質及び骨膜部の細胞外基質に反応したが、抗原の性情は現在検討中である。以上4つの抗体の他の培養細胞に対する反応性及びさらに詳細な抗原の性状についても検索中である。 また、我々の樹立したラット骨芽細胞様細胞を抗原として用い、同様な方法でラット骨芽細胞に対するモノクロナール抗体もすでに作製しており、現在、それらの性状についても検討中である。
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