研究概要 |
コラゲナ-ゼは歯周組織のほか多くの口腔内細胞によって産生される酵素で、歯周疾患の成立や進行に重要な役割を果たしているものと考えられています。われわれは、これらのコラゲナ-ゼの相互関係を解明するためにまず最初にコラゲナ-ゼ産生菌からコラゲナ-ゼをコ-ドする遺伝子をクロ-ニングする実験を行なった。 以前の結果から、口腔内常在菌種のうちコラゲナ-ゼを産生する菌種はBacteroides gingivalisのみであったので、この菌種についてプラスミドの有無を調べたが、プラスミドDNAはみられず、これらの菌株のコラゲナ-ゼ遺伝子は染色体上にあると推定された。そこで染色体DNAからコラゲナ-ゼ遺伝子をクロ-ニングすることにした。歯周疾患患者由来の新鮮分離株のうち、コラゲナ-ゼ活性が非常に強い株B.gingivalis NG2028株を供試した。ヘミンとメナジオンを添加したトリプチケ-ス・ソイブロスで3日間嫌気培養し、集めた菌体から染色体DNAを抽出・精製した。次にそのDNAをSau3AIで部分消化し、シヨ糖密度勾配遠心法によって4〜9kbの大きさの断片を抽出し、プラスミドpUC13のBamHI切断サイトに結合させ、それをEscherichia coli JM 103株にtransfectさせた。これまでに2,507株の組み換え体について、昨年度われわれが開発したコラ-ゲン・アガロ-ス平板を用いてコラゲナ-ゼ活性を調べたほか、ゼラチン液化能、スキムミルク分解能、トリプシン様酵素活性、Glycylprolyl protease活性などのプロテア-ゼ活性、カナマイシン耐性および黒色色素産生能を調べた。残念ながら現在までのところ、これらの活性を表現しているクロ-ンは得られなかった。
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