コラゲナ-ゼ(以下Case)産生菌からCaseをコ-ドする遺伝子をクロ-ニングする目的で実験を行なった。まずCase産生菌を容易に検出する方法としてコラ-ゲン平板培養法を検討した。Caseの基質であるコラ-ゲンは熱などによって変性し易い蛋白質で、変性するとCase以外のプロテア-ゼによっても水解されるようになる。基質の分解を指標として平板培地上でCase活性を特異的に検出するには、未変性の無菌コラ-ゲンを培地に加える必要がある。コラ-ゲンを変性させないように滅菌・添加する方法を検討した結果、滅菌法としては、凍結乾燥した未変性コラ-ゲンう電子レンジで5分間処理する方法が有効で、この滅菌コラ-ゲンを36℃に冷ました低融点がロ-ス添加ハ-トンフュ-ジョン培地に加えて平板に固めると、コラ-ゲンはほとんど変性しなかった。この平板を用いてBacteroides8 菌種・42株、Capnocytophage2菌種・2株、Actinomyces4菌種・6株、Corynebacterium matruchotii1株およびRothia dentocarisa2株、計8菌種・53株のCase活性を調べたところ、24株のB.gingivalisにだけCase活性がみられた。これらのCase陽性株についてプラスミドの有無を調べたが、保有株はなかった。このことからこれらの菌株のCase遺伝子は染色体上にあると推定し、染色体DNAからCase遺伝子をクロ-ニングすることにした。B.gingivalis NG2028株の染色体DNAをSau3AIで部分消化し、4-9kbの大木さの断片を抽出してプラスミドpUC13のBamHI切断サイトに結合され、それをE.coliJM103株にtransfectこせた。これまで、組み換え体2507株について、Case活性だけでなく、ゼラチン液化能、スキムミルク分解能、トリプシン様酵素活性、Glycylprolyl protease活性等のプロテア-ゼ活性、カナマイシン耐性および黒い色色素産生能を調べたが、これらの活性を表現しているクロ-ンは得られなかった。
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