1.マウス肋軟骨成長軟骨からのクロ-ン化軟骨細胞株の樹立とその性質いについて マウス肋軟骨成長軟膏より、アルカリホスファタ-ゼ活性が高く石灰化能を有し、上皮成長因子(EGF)及びトランスフォ-ミンク成長因子βに応答しEGF受容体を有するMGC/T.17細胞、副甲状腺ホルモン極めて高い応答性を示すとともに軟骨細胞の分化機能を高進させる因子を産生するMGC/T1.18細胞、および血管新生阻害因子と軟骨細胞分化機能高進因子を産生するMGC/T1.4細胞を樹立した。しかし、これらの細胞のプロテオグリン合成能は低く、産生するコラ-ゲンもおもにI型であった。したがってMGC/T1.4細胞およびMGC/T1.18細胞は軟骨細胞の分化機能の一部を保持している培養細胞株であること、又、MGC/T1.17 細胞は成長軟骨由来ではあるが、骨芽細胞の性質を有することが明らかとなった。 2.ヒト軟骨肉腫からのクロ-ン化軟骨細胞株HCS-2/8細胞の樹立とその性質について 分化型ヒト軟骨肉腫より、軟骨型プロテオグリカンを活発に合成し、軟骨に特異的なII型おびXI型コラ-ゼンを産生するクロ-ン化培養細胞株(HCS-2/8と命名)を樹立した。HCS-2/8細胞は初代軟骨培養細胞と同様インスリン様成長因子I及びII、さらにTGFβに応答してその分化機能が高進し、一方、ビタミンAに応答しその分化機能の発現が抑制された。本細胞は通常の培養条件下ではアルカリホスファタ-ゼ活性も低く石灰化しないが、ビタミンC存在下で培養するとアルカリホスファタ-ゼ活性が上昇し10倍以上に達した。なお、石灰化しない理由としては本細胞が石灰化阻害因子を産生していることがあげられる。以上の結果、本細胞は内軟骨骨形成機構の研究に適した細胞株があることが明らかにとなった。
|