研究課題/領域番号 |
63480414
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
須田 立雄 昭和大学, 歯学部, 教授 (90014034)
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研究分担者 |
田中 弘文 昭和大学, 歯学部, 助手 (30146899)
滝戸 次郎 昭和大学, 歯学部, 助手 (00197237)
宮浦 千里 昭和大学, 歯学部, 助手 (20138382)
高橋 直之 昭和大学, 歯学部, 講師 (90119222)
新木 敏正 昭和大学, 歯学部, 講師 (90138420)
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キーワード | 活性型ビタミンD / マクロファ-ジ / 細胞融合 / カルシウム / スペルミジン / トランスグルタミナ-ゼ |
研究概要 |
平成元年度の研究課題として、1.マクロファ-ジの融合に必須な蛋白質の同定並びにその性質の解明、2.融合過程における細胞内カルシウム濃度の変動、3.融合に対するTGaseの関与の解明を挙げたが、これらの課題に対して下記の知見が得られた。 1.活性型ビタミンD[1α,25(OH)_2D_3]によるMφの融合に先立ち、スペルミジンの合成を介して3種類の蛋白質(50、78、98K)が特異的に合成される。そこで、これら蛋白を同定するために、Ca結合蛋白を^<45>Caーbloting法で、また抗Cーキナ-ゼ抗体、抗チュブリン抗体等を用い検討を行ったが、何れの蛋白とも異なっていた。 2.Mφを低Ca培地(0.13mM)で1α,25(OH)_2D_3存在下で48時間培養しても融合は全く起こらないが、その後Ca濃度を1.85mMに上げると、融合が速やかに誘導された。この際の細胞内Ca^<2+>濃度を測定したところ、低Ca下では116nMであったのに対し、培地のCaを1.85mMに上げても細胞内濃度は144nMであり、有意な変化は示さなかった。また、Ca ionophoreを添加すると細胞内Ca^<2+>濃度は440nMに上昇したが融合は起こらなかった。 3.トランスグルタミナ-ゼ(TGase)は細胞骨格蛋白等の修飾を行い、その活性発現にはCa^<2+>を必要とする酵素であるが、1α,25(OH)_2D_3添加後、Mφの融合に先立ち、TGaseの活性の上昇がみられた。この活性上昇は、スペルミジンの合成を介したTGase蛋白の合成亢進による事が明らかとなった。更に、Mφの融合は、TGaseの阻害剤であるシスタミンの添加により抑制された。更に、ILー4の添加によっても、TGaseが誘導された。 以上の結果より、1α,25(OH)_2D_3とILー4によるMφの融合に先立ち、TGaseが誘導され、本酵素が融合過程に重要な役割を担うこと、更に融合の進行には細胞内よりもむしろ細胞外のCa^<2+>が関与することが明らかとなった。
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