研究分担者 |
田中 弘文 昭和大学, 歯学部, 助手 (30146899)
滝戸 次郎 昭和大学, 歯学部, 助手 (00197237)
宮浦 千里 昭和大学, 歯科学部, 助手 (20138382)
高橋 直之 昭和大学, 歯学部, 講師 (90119222)
新木 敏正 昭和大学, 歯学部, 講師 (90138420)
|
研究概要 |
我々は、活性型ビタミンD〔1α,25(OH)_2D_3〕がマウス肺胞マクロファ-ジ(Mφ)の融合を促すことを見いだして以来、破骨細胞の形成機序を調べるモデル系として、Mφの融合機構の解明を目視して研究を進めてきた。本研究では、融合に伴い、Mφで合成される蛋白質の解析、及び融合過程におけるカルシウムイオンの関与の解明を目的として実験を計画し、下記の重要な知見を得た。 1.1α,25(OH)_2D_3によるMφの融合にはスペルミジンの合成が必須であり、これに依存して融合に特異的な3種の蛋白質(98,78,50OK)合成が亢進していた。また、インタ-ロイキン4(1L-4)によってもMφの融合が起こり、この現象にもこれらの3種のスペルミジン依存正蛋白が関与することが明らかとなった。 2.Mφの融合過程は、1α,25(OH)_2D_3とCa^<2+>の依存正の点から、初期のプライミング期(0-18hr)と後期のプログレッション期(18-72hr)に分けられた。プライミング期には1α,25(OH)_2D_3が必須でありCaの依存性はないこと、プログレッション期にはmMオ-ダ-のCaの存在が必須であることが判明した。また、プログレッション期におこる融合に際しては、細胞内Ca^<2+>よりもむしろ細胞外のCa^<2+>が重要であった。 3.1α,25(OH)_2D_3と1L-4によるMφの融合に先立ち、Ca依存性酵素であるトランスグルタミナ-ゼ(TGase)の合成がスペルミジン合成に依存して亢進した。更に、TGaseの阻害剤であるシスタミンにより融合が阻害された。 以上の結果より、1α,25(OH)_2D_3と1L-4によるMφの融合過程において、先ずプライミング期にはスペルミジンの合成が亢進し、これに依存してトランスグルタミナ-ゼが誘導されること、更にプログレッション期には本酵素の関与のもとに細胞融合が進行するが、その際、細胞外のCa^<2+>が重要な役割を担うことが明らかになった。
|