研究概要 |
基質形成期のエナメル質に隣接している、主にエナメル芽細胞、中間層細胞、及び、エナメル髄細胞の一部からなる組織から、カルシウム結合性タンパクの抽出、精製を行った。 ブタの下顎骨から歯冠形成途上の第2大臼歯歯胚をとりだし、形成期エナメル質表層の細胞層を剥離して集め、生理的食塩水中で細片とし、血液成分を洗浄、除去後、凍結保存した。凍結試料をプロテア-ゼ、ホスファタ-ゼの阻害剤を含む50mMリン酸緩衝液pH7.4中でホモジナイズして中性可溶性画分を抽出した。この抽出液にヒドロキシアパタイト(HA)を加えてカルシウム結合性タンパクを吸着させた後に、0.5Mリン酸緩衝液pH6.8で溶出させ、溶出液を限外瀘過膜を用いて濃縮し、10mMリン酸緩衝液pH6.8で緩衝化してからHAカラム(三井東圧)を装着したGTiグラジエントシステム(LKB社)を用いてクロマトグラフィ-を行い分画した。カルシウム結合性タンパクを含む画分は、さらにTSKーGel G4000カラムを用いてゲル瀘過を行ないSD半ゲル電泳動像で単一になるまで精製した。 SDSゲル電気泳動法の結果から推定された、精製カルシウム結合性タンパクの分子量は71K daltonであり、構成アミノ酸はAsx,Glx,Lysが比較的多く、Cys,Metが少なかった。今までに報告されているカルシウム結合性タンパクと比較、検討した結果から、このカルシウム結合性タンパクは、分子量、アミノ酸組成において、それらとは明らかに異なっているものであることが判明した。
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