研究概要 |
ラットの橈骨、尺骨、正中、腋窩、坐骨の各神経を取り出し、0.32Mショ糖液中でホモジネートを作り、そのろ過液を0.656Mショ糖液上に重層し密度勾配遠心(40,000×g30分間)を行った。界面に生じた画分は約2倍に希釈し、再度密度勾配遠心を行った。得られた画分は0.25Mのショ糖液となるよう蒸留水で希釈したのち、10,000×gで10分間遠心した。沈澱は10mMトリス緩衝液でホモジナイズののち氷浴中に20分間静置した。これを10,000×gで10分間遠心ののち、得られた沈澱を生化学的分析の材料とした。なお、この沈澱物の形態を検討するため、通法により電顕用試料を作製ののち、超薄切片を透過型電顕で観察した。その結果、この沈澱物は層板状構造をとるミエリンであることが確認できた。 次に、上記沈澱物を0.03Mの塩酸でホモジナイズ後、4℃で13時間かくはんした。これを23,000×gで60分間遠心したのち、得られた酸不溶性画分をクロロホルム:メタノール(2:1)に溶解・ホモジナイズ後、7,000×gで30分間遠心した。脱脂された最終残査は冷風で十分乾燥ののち、10%ソディウムドデシルサルフェート(SDS)添加リン酸緩衝液に再溶解した。これを26,000×gで15分間遠心後、上清をセファクリル-100HRゲルクロマトグラフ分析した。280nmでピークの出現したフラクションチューブ内容液をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動し、ミエリン糖蛋白のバンドの出現を観察した。今回、はじめの末梢神経の湿重量が5匹のラットから約1gと少量であり、フラクション液を直接(約20μl)サンプルとして電気泳動を行っても、蛋白量が少なすぎ、クーマシーブリリアントブルー染色を施してもバンドを検出することができなかった。 今後は、出発材料の量をふやすとともに、電気泳動前にあらかじめサンプル液の濃縮を行う必要があると結論できる。
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