研究課題/領域番号 |
63480436
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
平澤 忠 鶴見大学, 歯学部, 教授 (80064335)
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研究分担者 |
椎名 順朗 鶴見大学, 歯学部, 講師 (70089431)
細井 紀雄 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70064368)
平林 茂 鶴見大学, 歯学部, 講師 (30121130)
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キーワード | 義歯床用軟質裏装材 / 初期流動性 / 吸水性 / 臨床評価 |
研究概要 |
1.流動性と吸水性の評価 アクリル樹脂系として常温ゲル化型のCSと加熱重合型CSS、シリコ-ン樹脂系として常温重合型のNSと加熱重合型のMB、フッ素樹脂系のKD、およびポリオレフィン樹脂系のMSの6種について、適合性と関連する初期流動性および耐久性と関連する吸水性を調べ比較検討した。CS,CSSおよびKDは、裏装するのに適した流動性を有していた。NSは練和開始4分から5分にかけ硬化に起因する流動性の急激な低下が認められ、機能印象を素早く行なう必要性が認められた。MB,MSは他の材料に比較して弾性が強く、試圧時間を長めにとり十分加圧する必要性が認められた。吸水性は材質による影響が明確に現われ、21週後の吸水量で比較するとCSが112μg/mm^3、NSが83μg/mm^3、CSSが65μg/mm^3、KDが49μg/mm^3であった。一方、MBおよびMSはほとんど吸水しなかった。吸水性から、CS、CSS、NS、KDの4種はやや耐久性が懸念される。2.臨床評価 アクリル樹脂系CSS 3床、フッ素樹脂系KD 11床、ポリオレフィン樹脂系M8床、計22床について5カ月から最長27カ月に及ぶ臨床観察を行なった。問診の結果は、90%の患者が装着感の改善を認め、概ね良好であった。裏装材の変化は、変色および面あれが多く、それぞれ72%、54%で観察された。また、義歯床との剥離が36%に認められ、特に、Mは8床中6床で剥離を生じ、接着剤の改良の必要性が認められた。その他、ひび割れ、弾性の変化が各18%の床で認められた。裏装材の比較は、問診からは判断が難しく明確な判別はできなかったが、材料の劣化傾向から伺えた。CSSは可塑剤の溶出に起因すると思われる弾性の低下があり3床とも使用を中止した。Mは油性食品に対する耐性に乏しく8床中7床が使用を中止した。平均華用期間はそれぞれ13.3カ月と13.1カ月であった。KDは、11床中9床がまだ使用中であり、現段階での平均使用期間は13.7カ月であるが、さらにのびる可能性がある。
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