顎関節円板の基質を構成するコラ-ゲン以外のプロテオグリカン等の物質とコラ-ゲンとの関連、円板の性状変化に対するプロテオグリカンの役割、および関節液の性状と変化を検索するため、正常ブタ顎関節円板、剖検より得られたヒト顎関節円板、およびヒト病的関節液のプロテオグリカンに関して分析を行なった。 4M塩酸グアニジンにより抽出後、イオン交換グロユトにより得られたプロテオグリカン含有画分を以下の分析に用いた。定性法として、アルカり分解、プロナ-ゼE消化により得られたグリコサミノグリカンのアセテ-ト膜電気泳動法(SEPARAXーS)を行なった。ピリジン-ギ酸緩衝液を用い、アルシアンブル-染色にて確認した。また、得られた試料を一次元SDS電気泳動(Laをmmしこの方法、20〜7.5%)にも用いた。 一次元SDS電気泳動的にみて、ブタの関節円板のプロテオグリカンでは分子量94K以上に2つの、67K〜94Kに広範囲の2つのアルシアンブル-染色性の分布を認めた。プロナ-ゼE消化により得られたグリコサミノグリカンをアセテ-ト膜電気泳動にかけた結果、ブタ関節円板ではデルマタン硫酸を主成分とし、他にコンドロイチン硫酸を、わずかにヒアルロン酸を認めたのに対し、ヒト顎関節円板ではコンドロイチン硫酸をデルマタン硫酸が同程度認められ、同様わずかのヒアルロン酸が認められた。また、ヒト病的関節液の一次元SDS電気泳動では分子量67K付近にアルシアンブル-染色性のバンドが認められ、アセテ-ト膜電気泳動によると、ヒアルロン酸のみが認められた。 さらにプロテオグリカンのコアプロテインの検索、組織中のプロテオグリカンの局在特性についての検索を進める予定である。
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