研究概要 |
時間変動磁場によって生じる組織内誘導起電力を調べる目的で血液を対象として誘導渦電任の測定し、その分布を観察した。 方法 電磁石(E型コア-)を作製し、電磁石には電源から交流が流れるように設定した。電磁場形成系の特性に関して基礎的検討を行った。さらに変動磁場曝磁下の血液内誘導渦電流を測定した。 結果および考察 磁束密度は電磁石を流れる電流強度の上昇につれて増加した。銅線コイルに生じる誘導超電力は周波数と電磁石を流れる電流およびコイルの面積に比例したので、この超電力は誘導起電力であるものと考えられた。曝磁面積が一定であれば誘導起電力は磁束密度に比例することがうらずけられた。 血液中誘導渦電流は血漿がもっと大きく、ついで生理的食塩水、ヘパリン加動脈血(全血)、血球沈渣成分の順であった。 ヘパリン加動脈血、血漿、血球沈渣成分、生食水の誘導渦電流分布はいずれも容器中心部が低く、周辺部で高く、その分布様式は媒質の成分が異なっても変わらないことが分かった。。このときのプロ-ブ(測定電極)より見た媒質内のインピ-ダンス(1KH_Z,1Vで測定)は血漿、6.85KΩ ヘパリン加動脈血、7.45KΩ 血球沈渣成分、16.5KΩであった。血球など細胞成分が多くなるほどインピ-ダンスは高くなることがわかる。 このように変動磁場により生じる血液内の誘導渦電流の大きさは磁束密度のみでなく、媒質のインピ-ダンスに依存することがわかった。すなわち媒質のインピ-ダンスが高いと渦電流が低くなる傾向にあった。
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