研究課題/領域番号 |
63480442
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上田 実 名古屋大学, 医学部, 講師 (00151803)
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研究分担者 |
佐々木 真一 名古屋大学, 医学部, 医員
嶋 隆義 名古屋大学, 医学部, 助手
角 保徳 名古屋大学, 医学部, 助手 (30187801)
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キーワード | 細胞培養 / 再構成粘膜 / 粘膜移植 / コラーゲン / 臨床応用 |
研究概要 |
すでに家兎を用いた動物実験で粘膜組織を構成する線維芽細胞、上皮細胞の分離増殖法およびそれらを用いた粘膜組織の再構成法を確立している。本研究ではヒト細胞による粘膜組織の再構成法の確立とそれらの形態学的検索を行った。研究はヒト口腔粘膜からの線維芽細胞の分離増殖、コラーゲンゲル内での三次元培養、粘膜組織の再構成の順に行った。これによって作製された再構成粘膜組織を光学顕微鏡および電子顕微鏡を用いて観察した。研究成果は以下の如く要約される。 1.ヒト線維芽細胞の分離増殖法および三次元培養法について:年令3カ月から67才までの患者口腔粘膜小片より線維芽細胞をexplant culture法によって分離した。培養条件は牛胎児血清15%、5%CO_2、37℃である。その結果、細胞の遊出程度、増殖率、ゲル収縮率と年令の間には有意の差はみられなかった。むしろ細胞倍化時間が増えるほど、生理活性の低下がみられ、培養人工粘膜の作製にあたっては可及的に新鮮な細胞を使用すべきである。2.粘膜再構成法について:再構成固有層上での上皮細胞の重層培養を行った結果、上皮層の増殖はゲル中の線維芽細胞数とコラーゲン濃度に比例して促進された。従って培養人工粘膜の臨床応用に際してはコラーゲン濃度が高く(最低1.5%)細胞数が多いほど(最低1×10^6個/dish)がのぞまれる。3.再構成粘膜の形態学的研究:ヒト細胞を用いて再構成された粘膜組織を組織学的に観察した結果、上皮培養後4週目には上皮索構造を持った生体粘膜に近い組織が形成されることが明らかになった。また電子顕微鏡観察でも基底膜の形成が示され、組織構造の完成が示唆された。 以上よりヒト細胞を用いた再構成粘膜はhostの年令にかかわらず生体組織と同様の形態を構築し、臨床応用の可能性が大であると考えられた。
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