研究課題/領域番号 |
63480445
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
清水 正嗣 大分医科大学, 医学部, 教授 (90013846)
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研究分担者 |
松島 りん太郎 大分医科大学, 医学部, 助手 (10209546)
柳澤 繁孝 大分医科大学, 医学部, 助教授 (90053222)
水城 春美 大分医科大学, 医学部, 講師 (40145397)
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キーワード | 口腔前癌病変 / 口腔扁平上皮癌 / ケラチン / 電気泳動 |
研究概要 |
臨床的には日常の診療において口腔前癌病変ならびに扁平上皮癌を有する患者の診査所見の記録、症状の変化に応じた写真撮影による記録、生検を施行してきた。これらの記録の一部については1988年12月3日に第21回日本口腔科学会の九州地方部会で"口腔白板症の臨床診断学的検討"として発表し、主として、好発年齢、性差、部位、嗜好習慣、発症様式と臨床視診型との関連について示した。 ケラチンの分析に関しては生検により得た口腔前癌病変、口腔外科手術時に得た正常部口腔粘膜あるいは口腔扁平上皮癌組織および剖検により得た正常足底部皮膚を-85℃の超低温槽に凍結保存したものを材料とし、Clausenの法によりケラチン分画を抽出している。抽出後のケラチン分画の電気泳動については本研究に際し購入した電気泳動装置を用い、その基礎実験として正常口腔粘膜ならびに足底部皮膚におけるケラチンの等電点電気泳動による分析を行なった。当初、ファルマシア社製の既製の等電点ゲルを用いて泳動を行なったが、ケラチンの物性が適さず、分離されなかったため検討を重ねた結果、8M尿素を含有するJagerstenらの等電点ゲルが比較的良好な泳動パターンを示すことがわかった。上記方法に従って得た2種の試料のケラチン分画の泳動パターンにおけるコマジーブリリアントブルー染色ではサイトケラチンの等電点とされているpH5-8の領域に約6種類のバンドを認め、重層扁平上皮組織を構成する基本的なケラチンサブユニット数と考えられた。当面の実験課題としては等電点電気泳動の精度の向上と第2段階としてのSDSポリアクリルアミド電気泳動法を併用した2次元電気泳動法の確立にあり、ケラチンサブユニットのより詳細な分析が可能となるよう現在検討中である。
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