研究概要 |
これまでの研究でIFNーγおよびTNFがMLー1やUー937などの白血病細胞の分化を誘導し,それらの分化誘導効果はTGFーβを併用すると相加的あるいは相乗的に増強されることが明らかになった。また,末梢血好中球からの活性酸素産生が,IFNーγ,ILー1(αおよびβ),GーCSF,およびTNFを添加すると促進され,これらのサイトカインによって好中球の機能を活性化できることが示唆された。そこで今年度は,それらの機序を解明する目的で以下のような基礎的検討を加えるとともに,サイトカインとしてGーCSFの臨床応用を試みた。 1,IFNーγおよびTNFの白血病細胞に対する分化誘導効果の機序を解明するため,Uー937細胞とTNFを用いて,myc mRNAの発現を検討した。その結果,TNFはmyc mRNAの発現を1時間以内という短時間で抑制した。TNFにTGFーβを併用するとmyc mRNAの発現は相乗的に抑制された。 2.末梢血好中球に対してもっとも活性酸素増強効果が強かったIFNーγを用い,その増強作用の機序について検討を行った。その結果,IFNーγはCa^<++>のinfluxを引き起こすことによって増強効果を発現することが示唆された。 3.抗癌剤(テラルビシン)によって生じた顆粒球減少症(白血球数500/mm^3以下,好中球数300/mm^3以下)にGーCSFを投与したところ,短期間に重篤な感染症を生じることなく白血球数の回復が認められた。従って,放射線治療あるいは化学療法の際の白血球減少症や難治性感染症の治療にG・CSFの投与が百用であることが示唆された。
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