当初計画において、昭和63年度ではヒトに応用する前の基礎実験として、以下のような研究計画を予定した。1.荷重負荷咬合器を開発、作製、2.内部歪測定用FKOを作製し、3.このFKOを装着した口腟模型を荷重負荷咬合器にセットし、FKO内部歪を測定する。さらに、4.上記の測定系における測定誤差、再現性等を検討し、5、内部歪測定結果より前歯部に加わる力を推定する。上記の計画に基づいて研究を進めたが、以下のような問題点を解決する必要性が生じた。計画3、4で垂直荷重を加えた際の再現性に関しては、較正値を得るに至ったが、水平荷重を加えた際の再現性に関しては、当初垂直荷重のそれと比較して妥当と思われる結果が得られなかったので、荷重負荷咬合器にさらに改良を加えることにより研究を進めていくことにしており、現在、改良型荷重負荷咬合器を作製中である。一方、今年度(平成元年度)に計画している、ヒトにFKOを装着させてマルチテレメータを用いて、歪み、筋電図、脳波を測定することに関して、筋電図については従来の生体アンプを用いて測定した結果と同様の結果を得たが、歪みについては安定性に問題があり現在マルチテレメータ用歪みアンプに改良を加えたものを作製している。また、歪みに関してはヒトに応用した場合、マルチテレメータの代りに従来の歪みアンプを使用した際、安定したデータが得られることを確認している。したがって今後、早急に改良型荷重負荷咬合器を作製し、水平荷重を加えた際の較正値を算出する予定である。さらに、歪みを中心としたテレメータ測定システムを完成させ、ヒトを用いた臨床実験で得られたデータから垂直荷重、水平荷重を算出し、今年度(平成元年度)の研究計画に沿って研究を進めていく予定である。
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