研究課題/領域番号 |
63480455
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
清水 賢二 九州大学, 歯学部, 助教授 (80014083)
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研究分担者 |
名方 俊介 九州大学, 歯学部, 助手 (30037543)
玉利 和彦 九州大学, 歯学部附属病院, 助手 (60037538)
中島 昭彦 九州大学, 歯学部附属病院, 講師 (00037524)
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キーワード | 進行性筋萎縮症 / 咀嚼筋筋電図 / 開咬 / パワ-スペクトラム / リサ-ジュ |
研究概要 |
進行性筋萎縮症患者の咀嚼筋機能の変化と骨格および咬合形態の推移との関連から異常咬合の発生機序を解明することを目的とした。 被験者は国立療養所西別府病院に入院中の進行性筋萎縮症患者23名である。筋機能の検査として咀嚼筋表面筋電図、筋のMicrovibration、咬合圧、舌圧ならびに口唇圧を測定、記録した。形態検査としては口腔内および顔面写真、頭部X線規格写真ならびに咬合模型を採得した。 本研究は昭和52年より経年的に行っているものであり、本年度は資料採取している被験者のうち、特に一卵性双生児の筋機能および形態の経年的資料について分析を行い、成長過程に及ぼす遺伝および環境の影響を検討した。研究結果の概要は以下の通りである。機能的には両者共にsilent periodのdurationの延長、咀嚼リズムの乱れ、power spectrumから得られたLissajous図形から顎開閉筋の機能の不均衡の増加が見られた。また、それらには症状の進行につれて、弟が先行し兄が追随したと考えられる経年変化が認められた。これは症状の進行と密接に関連するCreatine Kinase値の推移からも裏付けられた。形態的には舌の肥大の影響と考えられる歯列弓幅径の増加傾向や、長径の減少傾向が見られたが、歯冠近遠心幅径とともに両者には差を認めなかった。さらに下顎骨は両者ともに開大していたが、兄の方がより大きく開大しており、経年的には兄は前下方へ成長し、弟は後下方へ回転していた。両者にみられたこれらの差異は、多因子遺伝であることに加えてDMD遺伝子(Xp21)のsizeが大きいため、一卵性であってもその欠落部位に違いがあり、その表現形に差が生じたものと推定した。そこで、抹消血液より採取した単核球におけるDNAの塩基の配列を同定し、両者の遺伝子レベルでの差異についても検討を加えている。
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