研究課題/領域番号 |
63480463
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
瀬崎 仁 京都大学, 薬学部, 教授 (50025681)
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研究分担者 |
高倉 喜信 京都大学, 薬学部, 助手 (30171432)
山本 昌 京都大学, 薬学部, 助手 (00166779)
橋田 充 京都大学, 薬学部, 助教授 (20135594)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | ペプチド性医薬品 / 化学修飾 / 電荷 / 高分子化修飾 / ポリエチレングリコ-ル / デキストラン / レセプタ-仲介エンドサイトシス / ス-パ-オキサイドジスムタ-ゼ |
研究概要 |
1.ペプチド性医薬品すなわちタンパク質の分子構造に対する化学修飾は、その生体内挙動制御の有力な手段と考えられる。我々は、本アプロ-チの方法論の体系化を目指して、タンパク質に各種化学修飾を施した際の化学構造-物理化学的・生物学的特性-体内動態の、三者間の相関に対する系統的検討を行ってきた。具体的な化学修飾法としては、(1)電荷の導入、(2)高分子物質との結合、(3)ポリエチレングリコ-ルやカルボキシメチルデキストラン等の排除認識素子(生体の特異的認識機構による認識を妨害する構造)の導入、(4)細胞レセプタ-により、特異的認識を受ける糖鎖構造の導入、等を取り上げ、特に修飾素材として糖類を利用するものに焦点を当てて研究を展開した。タンパク質の全身的レベルにおける挙動は、主として腎臓における糸球態瀘過と肝臓における実質細胞あるいはクッパ-細胞による細胞内取り込み、およびプロテア-ゼによる分解によって支配される。我々はこれに対し、デキストラン結合に伴う排除分子容積の増大による腎糸球態瀘過およびプロテア-ゼ分解の抑制や、負電荷を持つカルボキシメチルデキストラン結合による肝臓取り込みの抑制を利用して、タンパク質の主体内半減期を著しく延長する方法を確立し、ウリカ-ゼやス-パ-オキサイドジスムタ-ゼ、あるいは大豆トリプシンインヒビタ-に適用して、血中濃度とこれに対応する生物活性の持続化を得た。一方、タンパク質に対するガラクト-スやマンノ-ス残基の導入は、レセプタ-仲介エンドサイトシスの機構による特異的細胞取り込みを引き起こし、特定細胞に対するペプチド性医薬品の選択的送達の道が開かれた。以上、本研究で得られた知見は、今後バイオテクノロジ-等により生み出されるペプチド性医薬品を実用化していく上で、重要な基礎的情報となるものと思われる。
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