都内中学2校、高校2校の生徒1455名を対象に、健康状態および生活習慣と自己評価、家族環境、病気による影響に関する心理的反応との関係を調査した。対象となった中学・高校の親の学歴は高く、職業は管理職・専門技術職の割合が高かった。全生徒の20%ほどが最近病気にかかったことがある。自覚症状でみた健康状態では、頭痛、気疲れ、だるさ、めまい、元気がない、の間に相関が認められた。生活習慣項目間の関連をみると、飲酒と喫煙の間に相関があった。自己評価、家族環境反応には学校差、年齢差、性差があった。自己評価、家族環境認識、病気による影響反応のいずれも、項目別にみると自覚症状のある者は自己評価が低い傾向が出たが、これは尺度化した分析とも一致し、サブ尺度の中では一般自己の評価との間に最も高い相関が出た。自己評価と生活習慣の関係は、項目ごとに見ると、生活習慣がよいほど自己評価が高く出るものがあったが、尺度化した分析では相関はなかった。家族環境尺度については、学校、学年、親の学歴の違いによる差が出る項目が多かった。しかし健康状態、生活習慣との関連は、項目ごとにみると出るが、尺度化による分析では出なかった。病気による影響尺度では学年が低いほど、また女子のほうが病気による影響を大きく考えていた。健康状態および生活習慣との関連では、自覚症状の多い生徒は病気による影響を大きく考えていたが、尺度化した分析では出なかった。 次に、中学・高校生一般と糖尿病の中学・高校生の比較では、自己評価に関しては差がなかった。家族環境に関して、糖尿病患者は密着度が低く、知的、文化的志向が低く、活動的・創造的方向性、および家族の管理に対する評価が低く出た。また、病気による影響反応は、糖尿病患者の方が低かった。これはすでに病気に対する自信がついているためと考えられる。 今後の課題としては各心理的反応の尺度化を的確にし、社会段層をコントロ-ルして一般中・高校生と糖尿病の中・高校生の比較研究を行うことが必要である。
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