研究課題
1.マウス・チロシナーゼcDNAをプローグとし、ヒト遺伝子ライブラリーをスクリーニングした。ポジティブ・クローンの制限エンドヌクレアーゼ地図を作製し、塩基配列を決定したところ、第一エクソンを含み、約1kbの5′上流域を含むチロシナーゼ遺伝子であった。2.ヒト・チロシナーゼ遺伝子の染色体上の座位は、in situ ハイブリダイゼーション法により、第11染色体上に位置していることが明らかになった。また、ヒト・マウス融合細胞のDNAを用いた、サザンハイブリダイゼーションによる実験からも一致する結果を得た。3.アルビニズム患者末梢血より調整した染色体DNAを用い、制限酵素ポロモルフィズムを検索した結果、TagIで切断した時にポリモルフィズムを検出した。しかし、このポリモルフィズムは、正常人にも存在し、アルビニズム発症とは相関しなかった。また、チロシナーゼ陰性型アルビニズム患者のチロシナーゼ遺伝子上に、大きな欠失、挿入などの変異は見出されていない。現在さらに症例を増し、詳細な検討を続けている。4.メラニン色素産生メラノーマ細胞(M-3)を用い、転写レベルのチロシナーゼ遺伝子の発現を調べた。培地に、色素細胞刺激ホルモン(α-MSH)を加えると、対照と比較して5倍程度の発現量の増大が認められた。5.チロシナーゼ遺伝子の、転写調節領域を同定するため、構造遺伝子部分を、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子に置き換えたキメラ遺伝子を作製した。現在、このDNAを使って、メラノーマ細胞(M-3)に挿入し、発現させることを試みている。
すべて その他
すべて 文献書誌 (4件)