研究課題/領域番号 |
63480474
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊賀 立二 東京大学, 薬学部, 助教授 (60012663)
|
研究分担者 |
栗田 昌裕 東京大学, 医学部, 医員
杉本 恒明 東京大学, 医学部, 教授 (60019883)
澤田 康文 東京大学, 薬学部, 助手 (80114502)
杉山 雄一 東京大学, 薬学部, 助教授 (80090471)
花野 学 東京大学, 薬学部, 教授 (60012598)
|
キーワード | 血液-脳関門 / 薬物脳移行 / 腎障害ラット / イミブラミン / デシプラミン / DL-プロプラノロール |
研究概要 |
本年度は、まずpartridge法によるBlood-Brain-Barrier(B-B-B)の透過性の検討を行った。ラットを用い、頚動脈内へペントバルビタール麻酔下対照物質としての^<14>C-ブタノールと、モデル薬物^3H-イミプラミン(IMP)及び^3H-デシプラミン(DPM)を含む注射液(200ml)を瞬時投与後15秒後にラットを屠殺し、脳を摘出、ホモジナイズ後、両放射能を測定、投与薬液中の両者の夫々の^3H/^<14>C比からBrain Uptake Index(BUI)を算出した。さらに、^<51>Cr法によって実測した脳血流量とBUI法から求めた抽出率(E_s)(IMP:0.92;DPM:0.24)から、BBB透過性の指標となるPS値を算出した。さらに病態時等に血清中レベルが大きく変動する酸性糖たん白(α_1-AGP)の影響について検討した。この結果、従来非結合型濃度のみによると考えられていたこれらの薬物は、α_1-AGPへの結合体もまた、脳への移行に関与することが明らかとなり、いわゆるprotein mediated transportが脳移行においても見出された。 ついで、モデル腎疾患ラットを作製し、DL-プロプラノロールのB-B-B透過性の病態変動を検討した。急性腎疾患モデルラットは硝酸ウラニル5mg/kgを静注し作製した。上記BUI法によって脳への移行の指標であるPS値を求めた。腎疾患ラット群においてはPS値は正常群に比べて有意の低下を示した。さらに、正常ラットに対して、薬物注射液中に、腎疾患ラットから得た血清を加えDL-プロプラノロールの脳移行を検討したところ、先の腎疾患ラット群で見られたと同様のPS値の有意の低下が認められた。このことから、腎疾患時には、血清中にDL-プロプラノロールのB-B-B透過を阻害する物質が存在することが示唆された。この阻害物質は、熱感受性を有し、またpHでは限外口過されない物質であることが明らかとなった。本年度の実績は以上であり、次年度は、肝障害時の検討及び、単離毛細管系ならびに脳潅流系による検討を加える。
|