平滑筋の収縮はアクチンとミオシンの相互作用で起こり、数多くの薬物により修飾を受ける。そしてほとんどの薬物は細胞膜をその作用点としている。近年になり、平滑筋の収縮系タンパク質の研究が進み、膜機能を介さないで直接これに作用する薬物の作用機序の解析が可能となった。申請者らは、上記の目的にかなう薬物の検索を行い、海綿毒オカダ酸、アミロライドとその誘導体、抗生物質SF2370誘導体がMMレベルで作用のあることを発見した。 本研究では、(1)上記薬物の作用点をin vitroに於てミオシンのリン酸化説に立って検討するとともに、(2)生物収縮のこれら薬物による修飾を細胞内ミオシンのリン酸化と関係づける実験を行うことを目的としている。 昭和63年度では、モルモット結腸紐平滑筋の収縮・弛緩時に於るミオシン分子のリン酸化状態をピロリン酸電気泳動法にて直接的に検定することをすべて行うことができた。この方法に従い平成元年度は当初の計画通り薬物の検定を行うことができよう。 薬物と平滑筋より抽出した天然アイトミオシンの超沈殿時のミオシンのリン酸化に作用させる当初の計画も順調に進んでいる。現在までに、抗生物質JF2370誘導体の超沈殿及びミオシンのリン酸化に及ぼす抑制作用につき検定した。大部分の誘導体は二者への抑制作用が平行するが、NA0344、NA0359及びNA0362はそうでなかった。この事実は平滑筋収縮制御が必ずしもミオシンのリン酸化のみで行なわれているものではないことを示唆している。
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