研究課題/領域番号 |
63480476
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岩田 平太郎 大阪大学, 薬学部, 教授 (30028823)
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研究分担者 |
松田 敏夫 大阪大学, 薬学部, 助手 (00107103)
馬場 明道 大阪大学, 薬学部, 助教授 (70107100)
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キーワード | 海馬 / 興奮性アミノ酸 / クロライド / 蛍光プローブ / ストップトフロー |
研究概要 |
ストップトフロー蛍光装置を用いることで、Cl^ーによる蛍光色素SPQの蛍光強度の変化は非常に速く、0.01ミリ秒以下の時間で変化が完了していた。SPQの蛍光が生体内で起こる速い反応に、十分対応できることを明らかにした。また、同装置を用いて得られたCl^ーの濃度と蛍光強度との関係は、通常の蛍光計を用いた場合の結果と一致していた。 シナプトゾーム・シナプス膜小胞にSPQを応用するための予備試験として、これらへの^<36>Clの流入に対するGABAあるいはグルタミン酸の影響について検討した。これらのアミノ酸がどちらの試料においても^<36>Clの流入の影響を与えないことが明らかとなった。この結果からシナプトゾーム・シナプス膜小胞においてはこれらのアミノ酸に対する反応性が欠如していることが判明した。 海馬切片において、興奮性アミノ酸がcyclic AMPを増加させ、この増加をClチャンネルブロッカーが抑制することを明らかにした。また、このcyclic AMPの増加が外液のClに依存していたことから、cyclic AMP産成系にClの流入が非常に重要な役割を果していることが示された。この様な現象の認められる海馬切片における^<36>Clの流入を、グルタミン酸やカイニン酸といった興奮性アミノ酸が増強することを明らかにした。 インタクトに近い標品において興奮性アミノ酸の反応が見られたことから、ストップトフロー蛍光装置によりSPQを用いてClの流入について検討を行うためには、シナプトゾームなどとは異なるよりインタクトに近いこれまでにない試料を用いることが必要となった。種々の検討から大脳皮質を栄養液でゆるくホモジナイズしフィコール密度勾配遠心法により分画することにより、アミノ酸に対する反応性を保持した試料を得ることができた。現在この試料を用いてSPQの負荷の条件、アミノ酸に対する反応性について検討中である。
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