研究概要 |
C9は細胞膜上でC5b-8と結合してC5b-9を形成し、細胞膜を破壊することはよく知られている。しかし、その構造と機能との関係は不明な点が多い、我々はC9に対するモノクロ-ナル抗体を作成し、そのうちのP40とX197が、C9のC5b-8への結合を阻害し、その結果C9の溶血活性阻害をひきおこすことを明らかにしている。すなわち、これらの抗体がC9のC5b-8結合部位を認識している可能性が高い。そこで本研究では、C9の構造と機能発現との関係を明らかにする目的で、これらの抗体のエピト-プを決定することを試みた。α-スロンビン、トリプシンによる消化、あるいはBNPS-skatoleによるの化学分解によって得られるC9の種々のフラグメントに対するP40,X197の反応性を、イミュノブロッティング法で検討した。また、これらの結果から推定される一次構造上のペプチドをいくつか合成し、同様に反応性を検討した。さらに、C9と同様に溶血活性をもち構造も類似する蜂毒メリチンとの反応性も検討した。これらの結果から、P40,X197はC9のC末に近いドメイン5のアミノ酸配列上に、エピト-プをもつことが明らかとなったP40に関しては、40残基のアミノ酸配列上にそのエピト-プを限定することができた。これらのエピト-プは、C9の機能発現上必要なC5b-8への結合部位であると考えられるので、この部位の合成ペプチドを作成し、さらに詳細に検討中である。 また、P40はnativeなC9とは反応するが、血清中で形成された活性をもたないpolyC9や、SC5b-9複合体とは反応しないことを明らかにした。このようなP40の特性を利用し、P40をcapture antibodyとして活性をもつnativeなC9のみを検出するELISA法によるC9の微量定量法を開発した。
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