研究概要 |
目的)これまでにHTLV-I関連疾患であるHAM(HTLV I associated myelopathy)患者リンパ球より樹立した4種のHTLV I持続感染細胞(HYS-1 4)について細胞表面抗原およびHIV-1に対する感受性等を調べてきた、HIV-1は細胞表面抗原CD4がレセプタ-となって感染することが知られているが、CD4優性株のHYSー2をはじめとしてCD8優位株のHYSー1でもHIVー1は感染した。今回はHIV-1接種後1年以上継代培養しているHYS-1、HYS-2について表面抗原の変化とともにHTLV-1、HIV-1抗原を調べた。またHYS-1をクロ-ニングし、CD8陽性細胞単独でのHIV-1感染の成否も調べた。 方法)細胞表面抗原(CD3,4,8,11,IL2)はフロ-サイトメトリ-法および間接蛍光抗体法(IFA)の2方法により、HIV-1およびHTLV-1抗原はIFAにより調べた。 結果と考察)CD4抗原が90%以上のHYS-2はHIV-1感染後、クライシスを繰り返しながら1年以上経過した。この間にCD4抗原は減少して0.1%以下となった。これに対してHYS-1は細胞の増殖および表面抗原に顕著な変化は認められなかった。HTLV-1、HIV-1抗原は両株の細胞内に認められ、重感染細胞株であることがわかった。また、HYS-1をクロ-ニングしたCD8陽性細胞でもHIV-1感染が成立した。 以上より、HYS-2の場合HIV-1感染によりCD4陽性細胞が淘汰されCD4陰性細胞だけが生存し、増殖したものと思われた。またCD8陽性株はCD4抗原を介さずにHIV-1感染が成立したと考えられた。これらのことはHIV-1感染を考える上で興味深くさらに検討する予定である。
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