研究概要 |
本研究は,クロ-ズドコロニ-系統における種々の標識遺伝子の多型性を調べ,クロ-ズドコロニ-の遺伝的モニタリング法を確立することにあり,本年度は以下の研究成果を得た。 1.マウスおよびラットの標識遺伝子の検査法の確立 ラットの新しい標識遺伝子として次の3遺伝子座,Aconー1,Ahdー2およびFhー1を腎臓および肝臓を試料として用い,等電点電気泳動によって検査できるようにその方法を確立した。一方,マウスについては3遺伝子座を加えた。Hbaは赤血球を試料として用い,等電点電気泳動で,また,Lyー1およびLyー2は,リンパ球を試料として用い,細胞障害性試験で検出できるようにした。以上の結果,マウスおよびラットで,22遺伝子座が検査できるようになった。 2.マウス・ラットのクロ-ズドコロニ-系統の標識遺伝子の調査 Wistar,SDおよびDonryu系統を導入して標識遺伝子を調べ,系統間の比較を行った。その結果,SD系統については,2社間で大きな差は見られなかった。しかし,本系統において,Esー1遺伝子のcタイプが高い頻度で見られた。Wistar系統ではほとんど認めなかったので,両系統を区別できる標識遺伝子になると期待される。次に,Donryu系統については,Esー4においてcタイプが見られ,SDおよびWistar系統と明確に区別できることが分かった。また,RT1遺伝子についてはkタイプが見られた。このタイプは,Wistar:Imamichiで認められるが,他のWistarおよびSD系統には見られなかった。 ミトコンドリアDNAの検査を行ったところ,Wistar系統で3種類のタイプ,A,BおよびCが見られ,SD系統ではAおよびBタイプが見られた。また,Donryu系統では,AとGタイプがみられた。
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