本研究の目的は、幼児期から小・中学生期にかけての体力、運動能力の発達の様子を追跡的測定によって縦断的にとらえ、幼児期からの活発な身体運動の実施の影響を明らかにすることにある。測定は1980年から実施され、毎年対象人数を増加させてきたが、今年度は当初からの対象者にとっては10年目の測定年にあたる。今年度は、追跡対象となっている三重県紀伊長島町紀北中学校1、2、3年生を対象にトレッドミル・ランニング法を用いて、昨年同様の方法を用いて最大酸素摂取量の測定を実施した。対象のうち、追跡測定条件を満たしたものは203名であり、8〜10年間の追跡測定結果が得られたことは大きな成果であった。測定項目は、上記の他、形態計測22項目、皮脂厚、握力、背筋力、垂直跳、立位体前屈、立幅跳、立5段跳、シャトル走、自転車駆動アネロビックパワ-などである。 小学生については、紀伊長島町立東小学校および西小学校5、6年生130名のグラウンドランニング法による最大酸素摂取量を測定した。また、従来からの形態、筋力、基礎運動能力の測定を実施した。この対象については、幼稚園在園時から6〜7年間の追跡測定結果が得られた。紀伊長島町の対象児は、幼児期から活発な身体運動が実施されてきた群である。 幼児期には、あまり身体活動が行われなかった三重大学附属幼稚園児について、4〜6歳児の測定を1983年から継続実施してきたが、今年度は、これらの対象の多くが在学している三重大学附属小学校の2、3、4年生149名を対象として、昨年度にひきつづき幼児期と同じ測定項目の追跡測定を実施した。 これらの資料は、昨年度の測定結果とあわせて個人別に分析中であり、3年度目にあたる来年度の測定結果を加えて集大成する予定である。
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