研究課題/領域番号 |
63480491
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川口 昭彦 東京大学, 教養学部, 教授 (80013332)
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研究分担者 |
小関 良宏 東京大学, 教養学部, 助手 (50185592)
山田 晃弘 東京大学, 教養学部, 教授 (50012266)
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キーワード | 脂肪酸合成酵素 / アシルキャリアタンパク質 / ユ-グレナ / クロレラ / 不飽和化反応 |
研究概要 |
Euglena gracilisのクロロプラストが欠けた変異株から、可溶性画分に存在するI型脂肪酸合成酵素の精製を試みた。粗抽出液を硫安分画、ヒドロキシアパタイトカラム処理を行うと、精製されることは確認できた。しかしながら、酵素自身が不安定で精製の過程で失活することが明らかになった。そこで、安定化する試薬を探索したが、効果的な物質は見い出されなかった。 上記のI型合成酵素の他に、E.gracilisの野性株にはクロロプラストにII型脂肪酸合成酵素が存在している。このII型酵素の活性発現を調べるために、II型酵素系に関与するアシルキャリアタンパク質(ACP)の抗体を調節することを試みた。ACPはホウレンソウの葉から精製し、この精製ACPを用いて抗体を作成した。 ユ-グレナと同様に、chlorella vulgarisの脂肪酸代謝も環境条件によって大きく変化する。特に今年度は通気培養時のCO_2濃度条件による影響を調べた。C.vulgaris 11hの低CO_2細胞は高CO_2細胞に比べてオレイン酸(18:1)、リノ-ル酸(18:2)の割合が低く、α-リノレン酸(18:3)の割合が高い。また高CO_2細胞を低CO_2条件へ移すと18:1と18:2の割合の減少及び18:3の割合が増加した。この現象から低CO_2条件への移行によって、脂肪酸の不飽和化活性が上昇したものと予想された。この不飽和化反応は、弱光条件、暗条件あるいは光合成阻害剤存在下では起こらなかったので、この不飽和化は光合成と共役していることが示唆された。また低CO_2細胞を高CO_2条件へ移すと、18:3の割合が減少し、より飽和度の高い18:1や18:2の割合が増加した。この事実は、このCO_2条件変化により、脂肪酸の新規合成系の活性が高まっていることを示唆した。
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