1.リシンA鎖の酵素反応機構研究用の低分子合成基質の開発 (1)リボソーム28SRNA中のリシン作用部位(毒素ドメイン)を含む35塩基数より成る合成基質 リシンA鎖の基質は真核細胞由来のリボソームである。しかし、リボソームは、分子量450万と大きく、また蛋白質、RNAの複合体であり、その構造が極めて複雑である。したがって、これを基質として用いて、リシンA鎖(機能構造改変A鎖も含む)の活性測定、およびその分子機作の研究は不可能である。申請者は、先にA鎖が脱蛋白した28SrRNAに対しても、リボソームに対すると同様な基質特異性を有することを明らかにしている。本研究では、28SrRNA中の毒素ドメインと、同一の塩基配列を有する低分子RNA(35塩基長)を合成し、これを用いて、A鎖の基質特異性を調べたところA鎖は、本合成基質に対してリボソームと同一な特異性を示すことが明らかになった。 (2)最小合成基質の開発 上記合成基質を基本として、種々の変異RNAオリゴマーを作成しA鎖の活性を検討した結果、4塩基より成るループ構造と、6塩基対のステム構造を含むステム・ループ構造(総塩基数19)が、分子量最小で、かつA鎖に対して高い親和性を有する基質と成り得ることが明らかになった。今後の研究遂行に有用である。 2.Phoradendron Carifornicumの産生する細胞毒素レクチンが、リシンA鎖と完全に同一な作用機作を有することを、明らかにした。
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