研究課題
1.マウス腎で、Galβ1-4(Fucα1-3)GlcNAcβ1-6(Galβ1-3)Gb_4Cerの発現を制御しているGsl-5遺伝子が同定され、この遺伝子は第19染色体上に存在する可能性が示唆されていた。本研究でGsl-5のマッピングを行い、Gsl-5はLyt-1より7.5cMチロメア側にあることが決定された。このマッピングには野生マウスであるm.m.castaneus、近交系マウスDBA/2が使われたが、この交配で、New Ged2-3Galβ1-3Gb_4Cerno発現を制御する遺伝子(Gsl-6)がGsl-5とは異なる連鎖する遺伝子であることが示された。Gsl-6はGsl-5より1.9cM動原体側にマップされた。しかし、Gsl-6は野生マウスとの交配でのみ、Gsl-5から分離出来た事実は、castaneus野生マウスのGsl-5付近に高頻度の組換えを起こす遺伝子のある可能性を示唆している。現在Gsl-5の遺伝子産物が糖転移酵素のレベルを調節するか否か検討中である。2.マウス赤血球のGM_4の発現を制御する遺伝子Gsl-4は交配実験で同定され、第3染色体上にあることが示唆され、本研究でこの遺伝子のマッピングを行った。Gsl-4は第3染色体上のAdh-3から4.6cM動原体側、Amy-1から12.4cMチロメア側にあることが明らかになった。現在、このGsl-4がどの糖鎖発現に関与する遺伝子であるか検討中で、Gsl-4前駆体であるGal-Cerの発現を制御する可能性がでて来た。3.さらに糖鎖発現制御遺伝子を解析するには、細胞レベルの糖脂質の解析が必要である。そのためには特異的微量定量法が必要である。本研究でHPLC-質量分析による方法を検討した。1mm×15cmんカラムを使い100μl/gの流連で糖脂質を分離し、FABイオン化を使ったMSを行うものである。精製したGlc-Cer.Gal-Gb_4をOOSカラムで分離して、検出した。両者ともセラミド部分の差による分子種に分離され、疑似分子イオンが検出されるとともに、マススペクトルも得られた。感度はN-Stearoyl+Gle-Sphingosineで20ng注入量であり、今後微量定量法として確立される可能性が大きい。
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