研究課題/領域番号 |
63480495
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研究機関 | (財)東京都臨床医学総合研究所 |
研究代表者 |
矢原 一郎 都臨床研, 細胞生物, 部長 (60109957)
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研究分担者 |
飯田 和子 都臨床研, 細胞生物, 研究員 (40151229)
松本 清治 都臨床研, 細胞生物, 研究員 (40190532)
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キーワード | ステロイドホルモン受容体 / 熱ショックタンパク質 / アクチン / コフィリン / 核内移行シグナル / 熱ショック応答 |
研究概要 |
1.HSP90とグルココルチコイド受容体からなる複合体(いわゆる8S受容体)を^3H標識トリアムシノリンアセトナイドで標識し、重合アクチンと加温し、遠心したところ、複合体はアクチン繊維と共沈澱した。この相互作用はカルシウムイオン存在下にカルモデュリンによって阻害された。したがって、8Sステロイドホルモン授与体は細胞質においてアクチン繊維と相互作用し、細胞内輸送、位置決定また安定化を行っていると考えられる。ある種のキナーゼ、ステロイドホルモン受容体の他にもHSP90と相互作用を行う細胞質タンパク質を検索したところ、ダイオキシン受容体8S型がHSP90と複合体を形成していることが、抗HSP90抗体の作用により示された。高塩基濃度で現れる4S型受容体はHSP90抗体の影響を受けなかった。この結果、ダイオキシンのような薬物の受容体もHSP90と複合体を形成しており、ステロイドホルモン受容体の場合と同じ調節作用の支配下にあることが示された。 2.熱ショックやDMSO処理によってアクチンと共に細胞質から核内に移行し遺伝子発現の変化やRNAスプライシングの修飾に関与する可能性が考えられるタンパク質コフィリンの分子的性質を明らかにした。ブタおよびマウス脳mRNAより調整したcDNAライブラリーより、部分的に決定したアミノ酸配列にもとづいて合成したオリゴヌクレオチドをプローブとして、コフィリンcDNAをクローニングした。ブタおよびマウスのコフィリンcDNAは共に166残基のアミノ酸からなるタンパク質をコードしており、互にわづか2個のアミノ酸が異るのみであった。N端側にSV40ラージT抗原の核内移行シグナルに似た配列があり、C端側に幾つかのアクチン結合タンパク質とホモロガスな部位があった。
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