研究課題/領域番号 |
63480497
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
坪井 昭三 山形大学, 医学部, 教授 (70004554)
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研究分担者 |
鈴木 民夫 山形大学, 医学部, 助手 (30206502)
斧 秀勇 山形大学, 医学部, 講師 (40160915)
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キーワード | ミトコンドリア蛋白質前駆体 / 延長ペプチド / 蛋白質輸入機構 / 細胞質因子 / 熱ショック蛋白質 / オルニチンアミノ基転移酵素 |
研究概要 |
我々は、化学的に合成したオルニチンアミノ酸転移酵素(OAT)前駆体の延長ペプチド部がエネルギーに依存してミトコンドリアマトリックス内に輸入されることを見出すと共に、このペプチド(34個のアミノ酸残基よりなる)を用いてミトコンドリア蛋白質前駆体輸入に要求される細胞質因子を精製し、その作用機構を解析し報告した。我々は、これらの実験成績を基にして、昭和63年度に次のような研究成果を得た。 (1)OAT前駆体の延長ペプチドとN末端部を含むペプチド(53個のアミノ酸残基よりなる)を化学的に合成し、このペプチドをリガンドとしたアフィニティークロマトグラフィーを行うことによりミトコンドリア外膜に存在するOAT前駆体の延長ペプチド部を認識する受容体をほぼ完全に精製した。この受容体は50KDと30KDのペプチドよりなるが、これらのうち30KDのものが、OATの延長ペプチドを認識し、結合する。また、30KDの抗体がOAT前駆体のミトコンドリアへの輸入反応を阻害することも明らかとなった。(2)上記の実験に用いたアフィニティーカラムにより細胞質因子を精製し、この因子は60KDのペプチドよりなる蛋白質であることを明らかにした。この蛋白質の抗体は、ほぼ完全にOAT前駆体の輸入反応を阻害することが明らかとなった。(3)ミトコンドリア蛋白質前駆体の輸入には、我々の見出した細胞質因子以外に熱ショック蛋白質の一種(70KD)とミトコンドリア外のATPが要求されることが報告されている。この点を詳しく解析した結果、OAT前駆体の輸入には膜ポテンシャル及び細胞質因子以外に熱ショック蛋白質とミトコンドリア外のATPが要求されるが、OAT延長ペプチドの輸入には熱ショック蛋白質・ATPの要求性のないことが明らかとなった。従って、我々の見出した細胞質因子は、標的認識因子と考えられ、熱ショック蛋白質はATP依存性アンホルダーゼと考えられた。
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