研究課題/領域番号 |
63480505
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
石村 巽 慶応義塾大学, 医学部・医化学, 教授 (40025599)
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研究分担者 |
高木 康光 慶應義塾大学, 医学部・医化学, 助手 (20212003)
田中 寅彦 慶應義塾大学, 医学部・医化学, 助手 (90171785)
牧野 龍 慶應義塾大学, 医学部・医化学, 講師 (40101026)
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キーワード | 好中球 / ス-パ-オキサイド / NADPH酸化酵素 / 細胞質因子 / 甲状腺濾胞細胞 / 脂肪酸 |
研究概要 |
好中球のO^-_2生成系については、その活性化に必須な因子である細胞質因子の精製を行った。塩濃度47mMに調製したDEAEセルロ-スにより、同因子を活性化のためには共存の必要な最低2つの成分に分離できることを見い出した。そこでまず同セルロ-スに吸着する因子について精製を試みた。高速陰イオン交換クロマドグラフィなどにより精製した本因子は、SDS電気泳動上分子量約6万、ゲル濾過クロマトグラフィ上では同じく約17万を示し、オリゴマ-構造であると考えられた。また、精製標品にはヘムやフラビンは検出されなかった。この精製細胞質因子に対する抗体を作製し、イムノブロット法により活性化過程における同因子の挙動を解析した。活性化の前後において本因子の分子量は変化しなかったが、ある特定の刺激剤により好中球を刺激した際に本因子の膜画分への移行が顕著に認められた。この現象について現在詳細な検討を進めている。一方、塩濃度47mMにおいてDEAEセルロ-スに吸着しない細胞質因子については、高速陽イオン交換クロマトグラフィなどにより部分精製標品を得ているが、分子量等を特定できる段階にはまだ至っていない。 甲状腺のO^-_2生成系については、本年度は無傷濾胞細胞の解析を行った。細胞をカルシウムイオノフォアやATP等により刺激した際に細胞外に放出される活性酸素種を同定したところ、全て過酸化水素であった。同細胞のス-パ-オキシドディスムタ-ゼ(SOD)活性は好中球の十倍以上の高値であることから、本系の初生成物として産生されたO^-_2がSODの作用により速やかに過酸化水素に不均化され、濾胞腔内での甲状腺ホルモンの生合成過程に利用されることが考えられた。現在このO^-_2生成系の精製と、細胞レベルにおける活性調節機構を解析中である。
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