研究課題/領域番号 |
63480507
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安徳 重敏 九州大学, 医学部, 教授 (40034623)
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研究分担者 |
村上 純滋 九州大学, 医学部, 助手 (60190881)
蔵 忍 九州大学, 医学部, 助手 (90037391)
荒巻 亮二 九州大学, 医学部, 助手 (30037460)
増田 康治 九州大学, 医学部, 教授 (10037377)
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キーワード | 超電導磁場 / 生物学的影響 / 培養細胞 / マウス胎仔 |
研究概要 |
超電導磁場の生物に及ぼす影響を昨年に続き培養細胞と妊娠マウスを使用して調べた。超電導磁場は6.4テスラ(T)の静磁場である。 1.分割曝露による細胞数:磁場に1回曝露では細胞の生長、コロニ-形成による生存率に全く変化はなかったが、15時間曝露したあと37℃で15時間培養し、再び15時間磁場に露したあとの細胞数は常に磁場群の方が低かったが、両者の差は小さく、有意となるまでには至らなかった。例数を追加して追究している。 2.細胞膜の透過性に及ぼす影響:培養細胞に^3Hーウリジンを取り込ませたあと1〜3時間磁場に曝露後、細胞内からの^3Hーウリジンの流出量をみると磁場群が対照群より有意に低かった。この結果の意義を解析中である。 3.細胞の分裂系図に及ぼす影響:HeLa細胞を15時間磁場に露し、微速度顕微鏡写真撮影を行ない、個々の細胞を追跡して得られた世代時間は、対照群が32.5時間、磁場群が32.9時間であり、分裂様式も正常な2極分裂がそれぞれ97.2%、96.0%で両者に差はみられない。 4.染色体異常に対する影響:細胞を15時間磁場に曝露後染色体標本を作製し、2動原体と環状染色体の出現頻度を調べた。対照群、磁場群共に異常染色体の出現頻度は小さく、統計処理をするに至らなかった。 5.マウス胎仔に対する影響:前年度に引き続き例数を追加し、対照群と磁場群の胎仔数約500匹について外見異常を調べた。両群共に1匹ずつ頭部に異常を有する奇型がみられたが、1腹の胎児数にも奇型誘発においても両者に有意の差はみられなかった。 現在までのところ、細胞膜の透過性に差がみられた以外は、6.4Tという強磁場曝露でも生物学的に著明な影響がないという結果が得られた。
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