研究課題/領域番号 |
63480510
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊藤 建夫 大阪大学, 理学部, 助教授 (40051817)
|
研究分担者 |
堀井 俊宏 大阪大学, 理学部, 助手 (80142305)
|
キーワード | コリシンE2 / コリシンE3 / 複製開始蛋白 / 複製開始部位 / プラスミド特異性 / 再構成系 / プライマ-RNA / プライマ-ゼ |
研究概要 |
ColE2およびColE3 DNA複製系を用いて、プラスミド特異的複製開始蛋白(Rep)によるDNA複製開始反応の分子機構の解明を試みた。以下に本年の研究経過について記す。 1.分離用小型超遠心機を用いて、多種類のプラスミドDNAを極めて迅速に精製し得るので、種々の欠失複製開始部位を持つ変異型プラスミドの純化されたDNAを用いる精度の高い実験を行なうことができた。2.Rep蛋白の機能の詳細を解明する目的で、この蛋白の精製を試み、純度80%程度のものを得ることができた。さらに高純度のものを再現性良く調製する方法の確立を検討している。精製は高塩濃度下または界面活性剤存在で行なうことを考えている。3.部分精製されたRep蛋白を用いて、この蛋白が複製開始部位に特異的に結合することをフィルタ-結合法で示すことができた。ColE2とColE3の間の厳密なプラスミド特異性を試験管内の系で検出できることが判った。4.大腸菌の粗抽出液を用いる試験管内DNA複製系において複製開始部位から最初に合成されるleading鎖DNA断片の5'末端に残存しているRNAの構造を決定した。それはppApGpAであり、プライマ-RNAであることが判明した。5.複製開始部位での最初のleading鎖DNA合成には大腸菌のRNA合成酵素(転写酵素)およびDnaG蛋白(プライマ-ゼ)は不要であるので、ColE2の複製開始蛋白がプライマ-ゼである可能性が考えられるに至った。そこで、部分精製したRep蛋白を用いて、複製開始反応を再構成することを試みた。その結果、Rep蛋白、DNA合成酵素Iおよび一本鎖DNA結合蛋白(SSB)の3種の蛋白のみで複製開始部位からの最初のleading鎖合成を再構成できた。今後、精製されたRep蛋白を用いて、この蛋白のみでプライマ-RNAが合成されることの確認が急務であると考えている。
|