研究課題/領域番号 |
63480518
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
堀田 饒 名古屋大学, 医学部, 講師 (60023793)
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研究分担者 |
中村 二郎 名古屋大学, 医学部, 医員
羽賀 達也 名古屋大学, 医学部, 医員
洪 尚樹 名古屋大学, 医学部, 助手 (10195654)
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キーワード | 糖尿病性昏睡 / 抗利尿ホルモン / ラット摘出肝潅流実験 / 単離脂肪細胞 / 脂肪分解 / ケトン体産生 / ケトアシドーシス / 非ケトン性高浸透圧昏睡 |
研究概要 |
本研究は動物実験的検討と臨床的研究とから成り立っている。 1.動物実験的検討:(1)ラット摘出肝潅流実験の成果:肝代謝におけるvasopressin、oxytocinの効果はgluconeogenesis、ketogenesisを指標にL-alanine存在下で正常、DMを問わず、glucagonに匹敵した。生理的濃度のinsulinは、これらホルモンによって亢進したgluconeogenesis、ketogenesisを抑制したが、その効果は糖尿病ラットに比べ正常ラット肝でより強かった。得られた成績は、抗利尿ホルモンであるvasopressin、oxytocinがglucagon同様に、重篤糖尿病状態の病状悪化にその一因と担うことが示唆された。今後は、L-alanineの代りにglutamineを用い、これら抗利尿ホルモンの肝代謝に及ぼす影響を検討する予定である。(2)ラット単離脂肪細胞実験:重篤糖尿病ラットの脂肪細胞は、正常或は中等度糖尿病ラットのそれに比べ、低濃度epinephrineに対して強いlipolysisを示し、insulin(1〜50μU/ml)は抗脂肪分解作用を発揮しえなかった。この現象は、糖尿病性昏睡時の病態悪化の一因を説明し得ると考えられた。また、正常ラットの脂肪細胞を用いた実験でepinephrine(0.25μM)により若起されたlipolysisに対して、ケトン体の一つβ-hydroxybutyrateは抗脂肪分解作用を発揮しえず、高浸透圧状態(50mM glucose+100mM Nadl)はinsulin同様に強い抗脂肪分解作用を認めた。この事実は、ケトアシドーシスおよび非ケトン性高浸透圧昏睡の発症メカニズムをよく説明するものと考えられた。 2.臨床的検討:ケトアシドーシスおよびコントロール不良状態の糖尿病患者を対象として、治療開始前後の血糖、血清乳酸、ピルビン酸、血清ケトン体、脂質、電解質、pH、糖原アミノ酸と分枝状アミノ酸の変化を追究し、重篤糖尿病の治療指針をする指標確立の為、現在症例数を増やしている。
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