骨髄細胞、リンパ球の放射線傷害からの回復について、呼吸代謝、即ちATP、エネルギー産生系、免疫系機能賦活系の両面から検討した。 エネルギー産生系に関しては、(1)前TCAサイクル経路である細胞膜、解糖系、脂質代謝、蛋白代謝系のうち、先づ第一に細胞膜の修飾剤であるセファランチンについて検討した。(2)後TCAサイクル経路では、ミトコンドリアの電子伝達系の増進剤であるチトクロームCについて検討した。 免疫系機能賦活系に関しては、IFN、IL-2について検討した。 全身照射マウスの白血球数、即ち顆粒球数、リンパ球数の変動とリンパ球の細胞膜荷電の変化、Mitogemに対する反応、NK活性、骨髄細胞の脾コロニー形成(CFU-S)、in itroコロニー形成(CFU-C)により検討した。 チトクロームCは、顆粒球のみでなく、リンパ球の回復にも有効であり、骨髄細胞のCFU-S、CFU-Cに関して回復促進効果を示した。セファランチンは、顆粒球数の回復、CFU-S、CFU-Cで良好な結果を示した。リンパ球数の回復には明確な結果は得られなかった。両薬剤ともに細胞膜荷電の低下に対して、回復効果を示した。Mitogemに対する反応ではチトクロームCがBリンパ球の回復促進効果を示した。両薬剤の併用では、リンパ球の回復、CFU-S、CFU-C共に一層の回復効果が認められた。 Biochemical modifierであるIFN、IL-2では、IFNが照射前投与でリンパ球の回復を促進した。IL-2は照射前後の投与でT細胞の回復に有効であった。 チトクロームCの臨床において、照射終了時、その4週後を比較すると、リンパ球、T細胞の回復増進効果が、投与剤に認められた。
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