骨髄細胞、白血球-顆粒球、リンパ球の放射線傷害からの回復について、呼吸代謝系賦活剤、免疫機能賦活系薬剤の両面から検討した。 細胞膜の修飾剤であるセファランチン、電子伝達系賦活剤チトクロ-ムCの各々、あるいは併用を検討した。マウスの全身照射線量が150_cGyの低線量であるときは、両薬剤併用により白血球、骨髄細胞の回復は著明に促進されたが、線量が200_cGy、300_cGyと高線量となると薬剤の細胞毒性を受けやすくなり、投与量を感じなければならなかった。次にこの系に塩酸メクロフェノキサ-ト(糖代謝賦活剤)、シチコリン(脂質代謝賦活剤)を組合せた4剤併用を検討した。300_cGyの照射では、この4剤併用系でも白血球の囲復促進効果は認められなかったが、骨髄細胞の回復促進が著明に認められた。骨髄細胞が回復しても、末梢白血球、顆粒球、リンパ球への分化が障害が回復しないものと考えられた。免疫系賦活剤であるIFNは、照射後投与では、白血球、骨髄細胞のCFU-S活性ともに著明に抑制され、目的に不適であった。 IL-2は、300_cGy照射では、白血球にその回復促進効果を示さなかったが、骨髄細胞の軽度の回復促進が認められた。しかし白血球の形能分化は促進された所見が得られた。しかしリンパ球は抑制された。 代謝賦活剤の4剤とIL-2の併用形を検討したところ、300_cGy照射でも、この系のみが白血球の著明な回復促進が認められ、骨髄細胞のCFU-Sの回復も認められた。しかし白血球の回復の主体は顆粒球であり、リンパ球の回復はかなり遅延すると考えられた。IL-2が顆粒球を増強することは新知見であり、これまで知られていない。 チトクロ-ムCの臨床的検討では、白血球の回復促進効果が軽度であるが、有意に認められた。リンパ球、T細胞の回復に関しては、統計的有意性は認められなかった。
|