研究概要 |
ユリ科植物の花粉減数分裂過程において、花粉母細胞に特異的に検出される核蛋白質(PMCP;Pollen Mother Cell Protein)の特性を解析した。今年度は、PMCPのヌクレオゾ-ムでの存在様式を明らかにするため、蔗糖密度勾配遠心法を用い、ヌクレオゾ-ムの分画を試みた。各種の分離条件を検討した結果、蔗糖4-25%のリニアグラディエントを用い、4℃、25,000rpm、24hrの遠心でヌクレオゾ-ムのモノマ-、ダイマ-、トリマ-が分画された。全分画からヒストンを抽出し、SDS-PAGEで分析すると、PMCPはモノマ-にも存在した。これは昨年度の結果と矛盾するが、nativeな5%ポリアクリルアミドゲルでヌクレオゾ-ムを分離すると、PMCPが存在するために移動度が遅れること等を考えると、本来、モノマ-なのだが、ダイマ-の位置にきていたためと解釈できる。 ヌクレオゾ-ムのモノマ-、ダイマ-、トリマ-の各々についてPMCPはH4ヒストンを基準とした場合、ダイマ-にはモノマ-の2倍量、トリマ-には3倍量存在することが明らかとなった。テトラマ-以上はペンタマ-を含む今回の実験からトリマ-でのPMCP量と変わらない可能性が示唆された。以上の結果からPMCPはヌクレオゾ-ムのリンカ-領域に存在し、H1ヒストンとは異なった様式でクロマチンの高次構造に関与することが考えられる。 また、cDNA単離の第一段階として、アミノ酸配列を調べることを試みた。HPLCで精製した標品は気相プロテインシ-クエンサ-で解析したが、アミノ酸のシグナルは認められなかった。PMCPの末端がブロックされている可能性が考えられたので、ペプチド断片の調整法を検討した。その結果、酢酸、N-Bromosuccinimide,Cyanogen bromide等の化学薬剤による分解が適当と思われた。
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